阿部社長のza2(ザッツ)談ブログ

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2020.04.30

9月入学と通年採用

ここ数日、9月入学ということが話題になっていましたので、私個人のFacebookに、この機会に通年採用を本格的に導入すべきという意見投稿をしておりましたところ、意見の詳細を教えて欲しいという問い合わせがあったので、私なりに9月入学と通年採用を導入した際にどうなるのか?という予測と考えをまとめてみました。

【1】なぜ「9月入学」が検討されているのか?
9月入学については以前から議論されておりました。
理由はいくつかありますが、一番大きなポイントはグローバルスタンダードに合わせようというものです。
欧米や中国などでは、9月入学が一般的で、日本のような4月入学というのは世界から見ればレアケースの部類と言えます。
なので、9月入学であれば、他国の学生も受け入れやすく、日本の学生も留学しやすくなります。
また、就職という点でも、他国の卒業時期と時期を合わせることができるので、他国の人材を採用しやすくなるという利点があります。
もちろんその逆も然りです。
そういった意味で、国を含めて検討はされていたのですが、移行期間の問題や、長く続く慣習や文化的な面などから、何となくそのままにされていました。

【2】なぜ「今」9月入学なのか?
コロナ禍の現在、学校は授業がストップしており、そのまま4月も終わろうかとしています。
授業がストップした当初は、夏休みを返上して、その分を取り戻すようにすれば良いなどということも考えられましたが、緊急事態宣言が解除される見込みも立たない今、この1年間というスパンの中で、授業時間を取り戻すことは現実的に不可能な状態となってきています。
オンライン授業などで、その分を補填するような取り組みもされていますが、学習する本人のやる気や意思に左右される部分が多いため、日本が得意とする画一的な学力のボトムアップは難しく、オンライン授業を本来の授業の代わりとすることは難しいと思われます。
そうなってくると、今までのような日本の学習教育レベルの維持を図るためには、授業をある程度1からやり直す必要があります。
そのため、これを契機に以前から議論されていた9月入学を導入して、一気に制度を変えてしまおうというわけです。

3】通年採用とは?
通年採用とは、欧米では一般的な採用方法で、その名の通り、1年中採用を行うという方式です。
中途採用は日本でも通年採用が一般的ですので、特に抵抗もありませんが、新卒採用は4月入社が一般的です。これを新卒一括採用と言います。
通年採用というと大学生の時期からインターンをやらせたり、早い時期から採用活動を行う青田刈りを想像する方も多いですが、むしろ逆で、欧米では大学卒業後にインターンなどを行い、社会経験を積んだ上で就職することが一般的です。
そうすることで、仕事に対する理解度も深まり、学生からいきなり社会人になるよりも世の中を理解した上で社会に出ることができるため、就職後の職業に対するミスマッチも少なく、自分で自分の仕事観を十分成熟させた上で就職することができます。
もちろん欧米でも青田刈りはありますし、在学中に就職するケースもあるようですが、それは少数派で、在学中のインターンを変に混同してる部分が多分にあるように思えます。
日本でもコンビニや居酒屋でアルバイトをする学生が多くいますが、それをインターンに置き換えて考えると良いかと思いますが、要は志望する業界の企業でインターンという名のアルバイトを行うというイメージです。
日本でもビジネスに早くから興味がある学生や就職意識が高い学生は、インターンの本来の意味を理解し、すでに行っています。
インターンと言うと無償のイメージもあるかもしれませんが、日本の法律でも内容によっては就労とみなされるため、報酬を支払う必要があります。
なので、下手なアルバイトをするよりも社会経験になって報酬も稼ぐことができるので一石二鳥で良い制度なのです。
話を戻しますが、通年採用はグローバルスタンダードであり、就職活動自体も卒業後となるため、学生の本分である学問の習得にしっかりと時間を割けるため、大学へ勉強をしに行くという本来の意味を取り戻すことができます。
そういった意味でも日本において、通年採用という制度がもっと議論されても良いのではないかと思います。

4】日本における通年採用&インターンの問題点
通年採用の必要性は、以前から経団連などの経済団体からも政府からも意見が上がっており、検討をされてきました。ですが、その度に話が立ち消えとなり、何となくぼんやりとした議論しかされていませんでした。
その原因の一つが青田刈りです。
通年採用は上記の通り、就職時期を限定せず、いつでも採用できるシステムです。なので、同期などという考え方もなく、自分が就職したいと思った時に就職すれば良いシステムです。
インターンについても同じで、先日もインターン直結採用を解禁するという報道が出て、これも青田刈りイメージが先行している方々が騒いでいますが、よく新聞記事を読めば卒業後のインターンを含めた話です。
通年採用が本格的に採用されるとなれば、インターンも今のようなワンデーインターンなどという単なる説明会のような職業体験などではなく、実務経験の習得もある程度視野に入れた本格的なインターンとなります。
もちろん在学中からアルバイトよろしくインターンで稼ぐ学生ももっと出てくると思います。
また、現在の新卒一括採用では、世界では8月卒業が一般的ですので、他国から採用や邦人留学者の採用時期がズレてしまい、採用機会を奪われてしまうという問題もあります。
もちろん逆も然りで、国外の企業への就職を検討している学生も時期ズレ問題を抱えることになります。
そうなるとグローバルな採用がやりにくく、世界から優秀な人材を集めたくても集めることができません。
このように、現在の新卒一括採用は時代のニーズからはズレており、このままにしておいてはいけない問題です。ですが日本では通年採用とインターンの理解が足らず、専門家ですら青田刈りの話ばかりするような現状ですので、もっと議論されるべきだし、早急に導入を検討すべき課題だと思います。

【5】まとめ
私は基本的に通年採用に賛成の立場です。
新卒の就職支援を行う事業を行っていますが、新卒なんて言葉が日本からなくなれば良いとすら思っています。
なぜなら、就職がもっと自由で、新卒などという言葉がなくなれば、私たち世代(2000年度大卒)のような超就職氷河期に就活時期を迎えたロストジェネレーションを生まなくても済むためです。特に今年はコロナ禍で新卒就職市場は悪化することが懸念されています。リーマンショックの年もそうでしたが、単にその時期に生まれただけで、そのような言われなき就職差別が行われることは不幸以外の何物でもない。私はそう思います。
大学で大いに勉強し、校友との親睦を深め、スポーツに邁進するもよし、勉強と並行しながらインターンや起業を通じて社会実験を行うもよし、若者たちの可能性をもっと伸ばすことができる制度。それこそが通年採用であり、インターンであろうと思います。
今回のコロナ禍は、不幸なことではありますが、今まで夢物語に近かった、9月入学も実現可能な射程圏内に入ってきました。そうなれば、8月卒業となり、新卒一括採用も通年採用へと変更できるチャンスの到来です。
今を逃したら、もう日本が変われるチャンスは無いと思います。
来年からなどと言わず、今年から変更すべきです。
機は熟した!
今こそ、9月入学と通年採用を実現して欲しいと思います。

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